百貨店売上の減少に対する解決策は!?

おもいつき

私が百貨店に足を運んだ時、お世辞にも人が賑わっているとはいえないイメージだったのですが、それで成り立っているものなのかと、疑問に思ったので、売上など百貨店の現状と課題を調べていきたいと思います。

また、後に挙げる方策などはジャストアイデアに近いので、興味がてらに見ていただけたらと思います。

現状:2022年 百貨店売上高ランキング TOP5

まず、百貨店ごとの売上ランキングをみていきましょう。

1位 髙島屋(大阪府) 5407億円

2位 そごう・西武(東京都) 4404億円

3位 大丸松坂屋百貨店(東京都) 4346億円

4位 三越伊勢丹(東京都) 4330億円

5位 阪急阪神百貨店(大阪府) 3481億円

百貨店全体としては2022年の売上高は前年比12.3%増の5兆5,070億円となっていました。

要因としては、コロナからの回復が大きいでしょう。

ちなみに、下記の経産省の資料によると、2019年までは6兆円台をキープしていましたが、2020年は4兆円半ばまで急落し、2021年も増加に転じたものの4兆円台に留まりました。

また、百貨店の売上高は1991年に約9兆7千億円をピークに減少傾向が続いています。

現状:直近の月別売上データ

日本百貨店協会によると、2023年6月の全国百貨店売上高概況によると、前年同月比7.0%の増加で、これは16か月連続プラスとのこと。

百貨店売上高 | 日本百貨店協会 (depart.or.jp)

直近の売り上げは上がっていますが、インバウンドも含め、あくまでもコロナ明けによるものと考えられます。

そう考えるとやはり、このままでは地方都市の百貨店売上減少していく一方なのではないか?と感じてしまいます。

そこでなぜ百貨店の売上が減少していってしまうのかを考えていきます。

仮説① 百貨店は若者に魅力がないのではないか

最近の10代~30代は百貨店利用は少ないのではないかと仮説を立てます。

それは、百貨店の周辺が大きく変化し、コンビニやネット通販の利用で便利になったことが挙げられ、結果、年々百貨店の売上減少につながっていってしまっています。

若者が百貨店を利用するヒント

例えば若者向けのアパレルでのキーワードは「安い」「手軽」「おしゃれ」と考えると、「安い」と「手軽」は百貨店のイメージから少し遠のきます。

ここで企業側で取り組むものとして、効果がありそうなのは「手軽さ」です。

ネット通販が当たり前になっている現在では、わざわざ百貨店に行くこと自体が障壁となってしまいます。

ただ、現代の若者たちは、モノを持たない・消費しない風潮がありますので、単にECサイトを作れば良いということでも無いそうです。

そこで、以下のサービスがヒントになりそうです。

百貨店初のファッションサブスク【AnotherADdress】

こちらは株式会社大丸松坂屋百貨店が展開する百貨店初のファッションサブスクです。

特徴としては以下の通りです。

  1. 豊富なブランド
    • 海外のラグジュアリーインポートから、ジャパニーズデザイナー、 上質な百貨店ブランドまで200以上のブランドを取扱い。 約95%のブランドが日本国内初の正規サブスク参加です。
  2. 全ブランド定額
    • 全アイテム定額でお好きなタイミングから1ヶ月間レンタルできます。
  3. 気に入ったらそのまま購入OK
    • AnotherADdressだけのお得な会員価格で買取ることもできます。
  4. 返品可能
    • サイズが合わなかった、イメージと違った時には返品も可能。(1回のご注文に1点まで)
  5. 安心保証サービス有り
    • 万が一の汚破損が心配な方にも安心。

これはターゲットがあくまで「30~50代の大人」としているため、これを若者向けにアレンジし、オウンドメディアをつくることで顧客層に広がりが持てそうです。

さらに若者の目に留まりやすいように、広告もテレビCMといったマスメディアではなく、InstagramやTikTokなどのソーシャルメディアで、若者向けのキャンペーンを展開することが望ましいです。

10~20代のファッション事情といえば「SHEIN」が安価でおしゃれで有名ですね。ただ、20代の中には「ちょっとした本物志向」を求める人がいるのではないかと思います。

そこで百貨店のバイヤーの目利きによる若者向けの「ちょっとした本物志向」なものを、サブスクで提供できれば、「手軽さ」を兼ね備えたアプローチができるのではないかと考えます。

仮説② シニア層や富裕層には根強い人気があるのではないか

次に、以下の百貨店のイメージを考えたときに、シニア層や富裕層に需要があるのではないかと仮説を立てます。

  1. 高級感: 百貨店は、高級感のある商品を取り扱っていることが多く、高品質なサービスを提供していることが期待されています。
  2. 伝統的: 百貨店は、長年にわたって日本の文化や伝統を支えてきた存在であり、その歴史的な価値が評価されています。
  3. 品揃え: 百貨店は、幅広い商品を取り扱っており、特に高齢者にとっては、一度に多くの商品を購入できることが魅力的です。
  4. 安心感: 百貨店は、信頼性の高い商品を取り扱っており、品質や安全性についての情報を提供することで、顧客に安心感を与えています。

このイメージはシニア層や富裕層にとって安心できる材料かと思います。

また、これらは百貨店の強みであるとも言え、以下の記事同様、この部分を尖らせることが重要になってきます。

新宿の京王百貨店「シニア戦略」を変えた理由 「新シニア層」を取り込み、売り上げプラスに | 経営 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

この記事では、新宿の京王百貨店が1Fのメインエントランス横にROLEXを配置したり(富裕層向け)、化粧品売り場について、スキンケアブランドを強化したり(40~50代向け)と新たなシニア層を獲得しようと動きを見せています。

このことから、伝統的な高級ブランドスキンケアを主軸とした百貨店が目利きをした商品の安心感と品揃えを展開する選択と集中が重要になってきていることがわかり、今後の戦略のヒントになります。

新たなシニア層と富裕層が利用するヒント

地域コミュニティとの連携

まず、以下の取り組みにより地域との協力を強化し、地域イベントを通じて顧客とのつながりを深めます。

1.地域イベントの主催

地域のフェスティバルやイベントと連携し、百貨店を拠点として地域の文化や活動を紹介。地域住民との交流を促進する場を提供することも考えていきます。

2.地域固有の商品ラインナップを展開

その地域(都道府県単位でも)に特有の特産品を取り扱うエリアを設けることで、地域を盛り上げていく役目を担います。

3.地元クリエイターとのコラボレーション

地元のアーティストやクリエイターと連携して、限定コレクションやアート展示を開催。地域文化のサポートと百貨店のコンセプトを融合する目的で行います。

4.コミュニティ支援プログラム

地域の慈善団体や社会活動に協力し、善意の取り組みを推進。一部の収益を地域社会への寄付や支援に割り当てる。

これら4つの方策は、どれか一つを行なえば良いわけではなく、より多くの活動を行い、かつ継続することで、より地域に密着した存在となることができます。

また、地域のお祭りやイベントは町会や自治会によるものが多く、50代~70代の方々が多く活躍しています。そこに展開していくことで、百貨店への心理的距離も縮まり、地域の人たちと近くなることができるというわけです。

サステナビリティへの取り組み

環境への配慮や社会的責任を示すため、以下のサステナビリティに焦点を当てた取り組みを強化します。

特に富裕層は世間を読むことに対して敏感な気がします。そして本物志向であることから、環境配慮といったサステナビリティへの注目も高いです。

1.エコフレンドリー製品の展開

環境への配慮を示すため、エコフレンドリーな商品ラインを展開。

例えばコーヒーの豆など、フェアトレード認証がついた商品や、間伐材などの再生可能素材やリサイクル可能な商品を取り扱う。

2.環境啓発キャンペーン

グリーンエネルギーや廃棄物削減などの環境テーマに焦点を当てたキャンペーンを実施。顧客に持続可能な生活に参加する意識を高める。

身近なところでよく見るのは、飲み物のストローがプラスチックから紙ストローと変化した店舗があることですね。

これもテナント店舗だけで行うのではなく、百貨店としてキャンペーンを行い、期間中は飲食テナント全店がそのような取り組みを行うようにするとより強い発信となります。

3. 店舗エネルギー効率の向上

エネルギー効率の高い照明や冷暖房システムなどを導入し、店舗のエネルギー消費を削減。環境に配慮した運営を実現する。

最近ではすかいらーくのガストが再生可能エネルギー100%でCO2排出量実質ゼロの環境配慮型店舗をオープンさせましたね。

【環境配慮モデル店舗】CO₂排出量実質ゼロのガストが初オープン~再エネ100%電気使用 年間約88tのCO₂を削減~|株式会社すかいらーくホールディングスのプレスリリース (prtimes.jp)

まとめ

百貨店の売上減少の解決策として、「若者」「シニア層」「富裕層」とターゲットを絞ってみました。

どれも小手先でやると必ず失敗したり、継続できなかったりします。本気で取り組むからこそ、その想いがつくられ、本気で取り組むからこそ継続され、その2つが波及し、周囲へじわりじわりと理解されていくこととなります。

これらを通じて、百貨店が持続可能な成長と顧客への価値提供を実現する方法を考える助けとなればと思います。

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